サカナトビート 寿司職人の休日

旬の食材が知りたいし休日も舌鼓を打ち鳴らしたい

2022.6月もあっという間に第四週。初夏の高級寿司ネタ「新子」の情報を求めて豊洲市場に行ってきました~

2022.6.24㈭行ってきました東京豊洲。GWぶりです。この日の目的は「新子」の入荷状況を見ておく事です。

【新子とは】

新子とは、江戸前寿司の代表的なネタである子肌の幼魚。

foodslink.jp

大きさなど基準があるようですが、重要な事は「新子が出てきた」ということです。

【とある寿司店で】

銀座のとある寿司店でお得なランチを食べに行った時の事。お得といってもそこは銀座、一人前3000円の寿司盛り合わせを食べ終わった後「新子入荷しました」の情報を幸か不幸か聞いてしまった。せっかくだからと1貫だけ新子を注文してお会計が・・・8000円!新子が1貫で5000円、ランチの1人前より高かったというエピソード。実際の私の経験談ではなく、誰かが話していたのをそのままネタとしてこの時期によく使わせてもらっています。

【なぜ高い?】

単純に仕入れが高いです。と言っても出始めの2週間位ですが。今年2022年の私の元に届いた初めての新子情報は6月13日、11万円/㌔でした。

一緒に写っているのはボールペン!

1㌔11万円、上にあげた物はおそらく100㌘1万1千円ですね。ざっと見たところ30~50匹位でしょうか。間を取って40匹だとすると1匹275円。それを寿司1貫に4~6匹分つけて握るわけです。そうすると1貫の原価が1100~1650円ですので、1貫5000円というのは暴利でもなんでもなく適正価格と言わざるをませんね~。ちなみに11万円/㌔は私の知っている限り、初値としては安い方18万/㌔というのが何年か前にあったはず。

【この日は残念ながら…】

6/13日に初入荷の1報が届いたあと音沙汰がなく、気になっていたので見に行ったという次第でありますが、6/24は市場の中に新子の姿はありませんでした😢1か所だけ手書きの値札で新子の文字を確認しましたが、箱の中には氷とその手書きの値札のみ、現物は無しです。ほんとうにそれだけの入荷だったのでしょう。

【市場はすっかり夏モード】

お目当ての新子には出会えませんでしたが、すっかり夏の顔ぶれに替わった魚達を見ることが出来ました!

実は新子が出る時期というのは、子肌も良くなります。サイズ、鮮度、脂ノリがばっちりの子肌がたくさん並んでいました。

キラキラ~

その他、一番グッと来たのは天然のシマアジかな。玄人面したいんです、寿司職人は。シマアジは養殖物がほとんど。天然はこの時期だけで、養殖物のように脂が乗っている訳ではなくサッパリしているんです。食べ比べると、養殖物の方が味もあったりして天然よりも好まれたりして、そのなんとなく寂しい存在、それが天然のシマアジ

イサキと天然シマアジ

上の写真イサキもあまり知られていませんが養殖の物を皆が美味しい美味しいと喜びます。

素晴らしいサイズのアイナメ

出水 イズミと読みます、鹿児島県

大サイズのカマス

青果も果物も夏模様でした!写真は無いけど各種高級ブドウや桃糸瓜や赤栗南瓜


こうして改めて書き起こすと、ああ、夏が来たんだな~としみじみです。

個人的にちょっと悲しい弔辞があった連休でしたが、明日からも精一杯生きてゆきます。

皆様にも幸が訪れますように~~~