サカナトビート 寿司職人の休日

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新子の仕込、3つの重要ポイント。寿司職人の夏休み、1日目の暴走で家庭用に新子を仕込む

2022.8.10水曜日、新子!買っちゃいました!モチロン家庭用

寿司職人の夏休み、一日目の暴走です。8月11日木曜日は山の日で休市、替わりに水曜日開市というわけで大型連休の初日が開市日になるなんて~これは行くしかないよね、休市日の前日はお買得品でたりするし。

というわけで、行ってきました東京豊洲。この日も朝から暑かった~。

市場の対岸には晴海の高級マンションが

元々は家族からのリクエストで美味しいイカを探しに行ったんですが、ヤッパリいたんですよ~お買得になった新子さんが。お店で出してる新子、お客さんからの評判が良く度々の御替わりが。自分で味見のために食べますが寿司にはしないし、良さそうなスミイカが手に入り家にはマグロがあるし、もう今日は真夏の寿司パーティしかないな。そう覚悟を決めて、約400㌘32匹入りの新子を購入。帰宅後、新子を見た妻は開口一番「仕事好きだね~

ああ好きですよ、好きですとも。好きじゃなきゃやってられないよ、こんな事。まあいいじゃない、連休初日だし。以下、職人歴22年、今年も更新した私個人の新子の仕込みのポイントと〆時間の基準を順を追ってまとめます。

ヒレ、ウロコ、頭、内臓をとる

上記一連の作業で心掛ける事は

  • 包丁をよく研いでおく
  • 頭以外をなるべく持たない
  • 内臓を掻きだす時にガンバラの黒い部分も優しく一緒に掻きだす

 重要ポイント其の一 

氷を浮かべた濃い目のたて塩を用意する。内臓、ガンバラまで掻きだしたものはその都度順次用意したたて塩に入れてゆき鮮度保持。この時点でたて塩に放りこんでも塩が入っていくことは無いはず。塩分の浸透圧冷却の作用で新子の鮮度を保ちます。無論引き続き速やかに卸しに移る前提です。

②卸す

通常の子肌と同じ手順。なにより手早くきれいに。ガンバラの腹骨はやさしくすくい取る感じ。今回の物よりも二まわりほど小さい出始めの新子だと腹骨をすくわない店もある。

③たて塩に漬ける

1匹 体長4~6㎝ 重量10~13㌘ 2~3匹で寿司一貫の大きさの物で

たて塩の濃度 飽和量近く 30% もうこれ以上溶けなくない?って量ですね。

重要ポイント其の二 

たて塩自体をキンキンに冷やす

上記の大きさで漬け時間は12分。出始めの小さい物で5~6分がいいとこでしょう。

時間が経ったらたて塩から上げてペーパーに広げ表面を軽くふく。これ以上塩分が入らないようにと、次の酢締めのため。

④割酢に漬ける

生酢1:水1の割酢をキンキンに冷やしておく。たて塩も割酢も必ずキンキンに冷やします。今時期は特に水がぬるいので氷をたくさん使って~。

重要ポイント其の三 

漬け時間はたて塩と同じ時間が目安です。

従来のいわゆる〆物(子肌や〆サバ)の場合塩を当てる時間を2とすると酢に漬ける時間はその半分の1が基本ですが、たて塩と割酢の場合は同じ時間様子を見ます。酢が効き過ぎるのは論外ですが塩気ばかりで酢が効いていないのも旨みは半減です。

新子の表面が青白く変色したら酢水からあげ、皮目をボウルにぺたぺた貼り付けます。銀色の皮目の張りを保持するのと、自然に酢を切るため。重ならないようにしたり、尾を上にして貼っていく人もいます。今回は家用なので重ねちゃう。

手前味噌ですがかなり旨く仕上がりました。味つけは塩と酢だけですが、魚の旨みが併さり新子ならではオンリーワンの旨みが生まれます。これは御替わりくるわ…。

さあ今日は新子もイカ食べ放題だよ

好きなだけ食べれて超幸せだったんですけど、一つ気付いたのは…なんでも程々がいい。新子の魅力はその希少性淡い風情。こうやっていっぱい並べるもんじゃないのか~。これはこれでテンションは上がりましたが。

夏のお楽しみはもう少し続く予定です。

皆様にも幸が訪れますように~~~